2026年6月20日|在留資格・ビザについて、制度の正確な解説と実務(費用・流れ・依頼先)を一次情報にあたって整理するメディア。
ホーム › 特定技能1号とは?費用・試験・始め方をわかりやすく解説

特定技能1号とは?費用・試験・始め方をわかりやすく解説

田中 誠一 / 更新:2026-06-19
特定技能1号とは?費用・試験・始め方をわかりやすく解説
「特定技能1号って結局どんな在留資格?費用はいくらかかるの?」——採用を検討する企業からも、これから取得したい外国人本人からも、毎週のように同じ質問を受けます。結論から言うと、特定技能1号は人手不足の産業分野で即戦力の外国人を最長5年雇える在留資格で、技能試験と日本語試験の合格、または技能実習2号の良好な修了で取得できます。

私は行政書士として10年以上、外国人の在留資格申請を専門に扱ってきました。入管窓口で実際に申請を通してきた立場から、制度のしくみだけでなく、現場でつまずきやすいポイントまで書きます。

この記事で分かるのは、2号や技能実習との違い、在留期間と家族帯同のルール、費用の全体像、試験の難易度と勉強法、採用の始め方、受入れ後のトラブル対策、そして2号への移行までです。読み終えるころには、自社や自分が次に何をすべきかが見えているはずです。

特定技能1号とは?制度の概要をわかりやすく解説

在留資格「特定技能」とは?8分で概要を解説します!
在留資格「特定技能」とは?8分で概要を解説します!

特定技能は、国内人材の確保が難しい産業分野で、一定の技能と日本語能力を持つ外国人を受け入れるための在留資格制度です。2018年成立の改正入管法にもとづき、2019年4月から受入れが始まりました。

在留資格としての位置づけ

特定技能1号は、特定産業分野で「相当程度の知識又は経験を必要とする技能」を要する業務に就く外国人向けの在留資格です。

平たく言えば、まったくの未経験者ではなく、ある程度仕事をこなせるレベルの人材を即戦力として迎える枠組み。ここが「学ぶこと」が建前の技能実習と決定的に違うところです。

対象となる特定産業分野

対象は介護、建設、外食業、農業、宿泊などの分野です。制度開始当初は19分野とする案内が広く使われてきました。

ただし、対象分野や基準は出入国在留管理庁が継続的に更新しています。最新の分野数は必ず公式ページで確認してください。資料によって分野の数え方に差があるため、ここで古い数字を覚えてしまうのが一番の落とし穴です。

特定技能1号と2号の違い

1号と2号は、同じ「特定技能」でも在留期間と家族帯同の扱いがまったく異なります。並べて見るとイメージしやすいので、表にします。

特定技能1号と2号の主な違い
項目特定技能1号特定技能2号
技能水準相当程度の知識・経験熟練した技能
在留期間通算で上限5年上限なし(更新可)
家族帯同認められない要件を満たせば可能
支援受入れ機関等の支援が義務支援義務なし
試験技能試験+日本語試験が原則より高度な技能試験

正直に言うと、長く定着してほしい人材なら、最初から2号移行を見据えた採用計画を立てる方が後で楽です。

技能実習との違いとメリット・デメリット

技能実習は「国際貢献・技能移転」が目的の制度で、原則として転職ができません。一方、特定技能1号は「労働力の確保」が目的で、同一分野内なら転職も可能です。

メリットは即戦力を雇える点と、本人が職場を選べる点。デメリットは、転職の自由がある分、せっかく育てた人材が他社へ移る可能性もあること。ここは制度の建前というより、現場で実際に起きる悩みです。

なお、対応する技能実習2号を良好に修了した人は、特定技能1号の試験が免除されると案内されています。技能実習からの移行は、最も現実的な採用ルートのひとつです。

特定技能1号の在留期間と家族帯同のルール

ここを読み違えると、採用計画そのものが崩れます。特定技能1号の在留期間は通算で上限5年。この「通算」の意味を正しく理解しておくことが大事です。

特定技能1号の在留期間と家族帯同のルール

在留期間は通算5年が上限

在留期間は1年・6か月・4か月などの単位で付与され、その都度更新します。一回ごとの許可は短くても、合計が5年に達するまで働けるという仕組みです。

つまり「最初に5年もらえる」わけではありません。更新を重ねて積み上げていく形です。

一時帰国や転職時のカウント方法

通算5年は、実際に特定技能1号として日本に在留した期間の合計です。一時帰国で母国に戻った期間は、在留していない以上カウントの対象外という整理になります。

転職しても、同じ特定技能1号として在留している以上、期間はリセットされません。前職の在留期間も合算されます。「会社を変えれば5年がやり直せる」と誤解している方をたまに見かけますが、これは違います。判断に迷う事例は、必ず管理局へ確認してください。

家族帯同が認められない理由

特定技能1号では、配偶者や子どもの帯同は認められていません。これは制度の設計上、1号があくまで一定期間の就労を前提とした資格だからです。

家族を呼びたい場合は、2号への移行が現実的な選択肢になります。長期で家族と暮らしたい人ほど、2号のある分野を選ぶべきです。

特定技能1号の取得にかかる費用の全体像

「費用はいくら?」は最も多い質問です。ただ、公的に固定された金額表があるわけではありません。費用は受入れ機関側の負担と外国人本人の負担に分かれ、登録支援機関へ委託するかどうかで大きく変わります。

特定技能1号の取得にかかる費用の全体像

ここでは確実に言える「費用の項目」を整理します。金額は分野や地域、委託先で差が出るため、相場ではなく内訳の考え方として読んでください。

受入れ機関側が負担する費用

受入れ機関が想定すべき主な費用は、在留資格申請にかかる費用、支援体制の構築・運用費、そして登録支援機関へ委託する場合の支援委託費です。海外から採用する場合は渡航関連の費用も発生します。

私の実務感覚では、社内に支援できる人材がいない企業ほど、委託費が固定コストとして効いてきます。ここを最初に見積もらないと、後で「思ったより高い」となりがちです。

外国人本人の自己負担

本人側では、技能試験・日本語試験の受験料、教材費、海外採用なら渡航費や健康診断費などがかかります。

注意したいのは、入国前の生活ガイダンスや出迎えなど、支援として義務化されている部分の費用を本人に不当に負担させてはいけない点です。ここは管理局も厳しく見ています。

登録支援機関への委託費用の相場

支援を自社で行えない場合、登録支援機関に委託します。委託費は一般に外国人1人あたりの月額で設定されることが多く、金額は機関によって幅があります。

正直、ここは「安いから良い」では選べません。安価な機関の中には、義務的支援を形式的にしか行わないところもあります。費用だけでなく、何をどこまでやってくれるかを契約前に必ず文書で確認してください。

特定技能1号を取得するための試験と勉強法

【特定技能1号】外食業界から不安の声  外国人受け入れ一時停止
【特定技能1号】外食業界から不安の声 外国人受け入れ一時停止

特定技能1号の取得には、原則として技能試験と日本語試験の合格が必要です。技能実習2号を良好に修了した人は試験が免除されます。

技能試験の内容と難易度

技能試験は分野ごとに、その仕事に必要な知識や実務能力を測る内容です。介護、外食、建設など、分野ごとに試験実施機関と出題範囲が分かれています。

「相当程度の技能」を確認する試験なので、まったくの未経験者向けではありません。実務をイメージできる問題が出ます。分野別の最新の試験案内は、各分野の試験実施機関の公式情報で確認してください。

日本語試験の基準

1号では、日本語能力の確認として国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)または日本語能力試験のN4以上が必要と案内されています。

N4は、基本的な日本語を理解できるレベルの目安です。介護分野など、分野によっては追加の日本語要件が課される場合があります。

効果的な勉強方法と教材

私が現場で見てきた限り、合格者に共通するのは「日本語と技能を並行して、過去問ベースで進めている」点です。技能試験は分野別の公式サンプル問題を繰り返すのが近道。日本語はN4の文法・語彙を固めてから過去問に入ると効率的です。

独学が不安なら、送出機関や日本語学校の対策講座を使う手もあります。ただし、教材選びより「毎日続く環境を作ること」の方が合否を分けます。

特定技能1号で働くまでの流れと始め方

採用ルートは大きく2つ。海外にいる人を呼ぶか、すでに日本にいる人を採用するかです。どちらを選ぶかで、手続きの順番もスピードも変わります。

特定技能1号で働くまでの流れと始め方
採用ルート別の特徴
ルート主な対象ポイント
海外現地採用母国で試験合格した人渡航手続き・送出機関との連携が必要
国内在留者採用元技能実習生・留学生など在留資格変更で進められ、比較的早い

海外からの採用ルート

海外から採用する場合、本人が現地で技能試験と日本語試験に合格していることが前提です。国によっては政府間の取決めにもとづき、送出機関を通した手続きが必要になります。

在留資格認定証明書の交付を受け、ビザを取得して入国する流れです。手続きが多く、最初の1人は時間がかかると見ておくのが現実的です。

国内在留者からの採用ルート

私が実務でよく扱うのは、こちらのルートです。元技能実習生や、試験に合格した留学生などを、在留資格の変更許可申請で特定技能1号に切り替えます。

すでに日本にいるため、生活面の立ち上げが早く、本人の日本語にも慣れがある。最初の受入れなら、国内在留者からのスタートを私は勧めます。

地方出入国在留管理局への申請手続き

いずれのルートでも、最終的には地方出入国在留管理局への申請が必要です。海外採用なら認定証明書交付申請、国内採用なら変更許可申請です。

申請には、雇用契約書、支援計画、受入れ機関の基準を満たすことを示す資料など、多くの書類が要ります。書類の不備は審査が長引く最大の原因。ここは取次資格を持つ行政書士に任せた方が、結果的に早いことが多いです。

受入れ機関の義務と外国人への支援内容

特定技能1号は「雇って終わり」ではありません。受入れ機関または登録支援機関による支援が法律上義務付けられています。ここを軽く見ると、更新時に響きます。

受入れ機関の義務と外国人への支援内容

受入れ機関に課される基準と義務

受入れ機関には、適正な雇用契約を結ぶこと、報酬を日本人と同等以上にすること、支援計画を作成し実施することなどの基準があります。

これらを満たせない企業は、そもそも受入れができません。基準は「採用前のハードル」であり、採用後も継続して守る必要があります。

住居・社会保険・銀行口座など生活基盤の支援

支援内容の例として、入国前の生活ガイダンス、入国時の出迎え、帰国時の対応などが挙げられています。実務ではこれに加え、住居の確保、社会保険の手続き、銀行口座の開設サポートが大きな比重を占めます。

特に住居と銀行口座は、本人だけでは進みにくい場面が多い。ここを丁寧にやる企業ほど、定着率が高いというのが私の実感です。

登録支援機関の選び方と自社支援との違い

支援を自社で行うか、登録支援機関に委託するか。判断基準は「社内に支援を担える人と時間があるか」です。

自社支援と委託の比較
項目自社支援登録支援機関へ委託
コスト委託費は不要月額の委託費が発生
手間社内の負担が大きい専門機関に任せられる
向いている企業支援担当者を置ける企業初めて・少人数受入れの企業

機関を選ぶときは、料金だけでなく、対応言語、緊急時の連絡体制、これまでの支援実績を必ず確認してください。安さだけで選ぶと、トラブル時に動いてくれず後悔します。

給与・待遇の実態と受入れ後のトラブル対策

特定技能1号が許可までのドキドキ135日間ドキュメント
特定技能1号が許可までのドキドキ135日間ドキュメント

採用前に最も慎重に見るべきは、給与と待遇、そして受入れ後のリスクです。ここを甘く見た企業ほど、後で失踪や未払いの問題に直面します。

日本人と同等以上の報酬という基準の水準感

特定技能1号では、報酬額を日本人が従事する場合と同等以上にすることが受入れの基準です。これは努力目標ではなく、満たさなければ許可されない要件です。

「外国人だから安く雇える」という発想は通用しません。同じ仕事をする日本人と同水準を払う前提で予算を組んでください。

失踪・賃金未払い・文化摩擦の事例と予防策

私が相談を受けるトラブルで多いのは、賃金や残業代の認識ズレ、生活ルールをめぐる文化摩擦、そして孤立から来る失踪です。

予防策はシンプルで、入社時に給与の内訳を母国語で説明すること、定期的な面談で困りごとを早く拾うこと。これだけで多くの問題は未然に防げます。問題は起きてからではなく、起きる前に手を打つものです。

転職・転籍の可否と手続き

特定技能1号は、同一分野内であれば転職が可能です。技能実習と違い、本人が職場を選べます。

転職する場合は、新しい受入れ機関で改めて在留資格変更等の手続きが必要です。前述のとおり、転職しても通算5年のカウントはリセットされません。受入れ側は「採れば即戦力」と思いがちですが、手続きが完了するまで就労できない点に注意してください。

特定技能1号から2号への移行と最新の制度動向

5年の上限が見えてくると、必ず話題になるのが2号への移行です。2号には在留期間の上限がなく、家族帯同も可能。長期的な人材確保の本命はここです。

特定技能1号から2号への移行と最新の制度動向

2号への移行条件と対象分野

2号は「熟練した技能」を持つ外国人向けで、より高度な技能試験への合格などが求められます。1号より一段高い水準です。

対象分野は制度改正で拡大が進んでいます。自分の分野が2号に対応しているかは、出入国在留管理庁の最新情報で必ず確認してください。

移行手続きの実際

移行は、2号の要件を満たしたうえで在留資格変更許可申請を行う流れです。1号として働きながら試験合格を目指し、合格後に申請するのが一般的な進め方です。

私の実務感覚では、移行を見据えるなら、1号の早い段階から本人と2号挑戦の意思をすり合わせておくのが得策。直前で慌てると、5年の上限に間に合わないこともあります。

育成就労制度との関係と最新動向

技能実習に代わる新制度として「育成就労制度」の導入が進められています。これは未経験者を育成し、特定技能へつなぐ流れを想定した制度です。

制度の細部は今後の運用で固まっていく部分が多く、ここで未確定の数値を書くことはしません。採用計画に影響するため、公式の最新情報を継続的に追ってください。

よくある質問

特定技能1号とは?
国内人材の確保が難しい産業分野で、相当程度の技能と日本語能力を持つ外国人が働くための在留資格です。2019年4月から受入れが始まり、在留期間は通算で上限5年です。
特定技能1号の費用は?
公的に固定された金額表はありません。受入れ機関側は申請費用や支援委託費、海外採用なら渡航関連費を、本人側は受験料や教材費などを負担します。登録支援機関への委託費は機関ごとに幅があるため、契約前に内訳を必ず確認してください。
特定技能1号の始め方は?
海外からの採用と国内在留者の採用の2ルートがあります。本人が技能試験と日本語試験に合格(または技能実習2号を良好に修了)したうえで、地方出入国在留管理局へ認定証明書交付申請または在留資格変更許可申請を行います。初めてなら国内在留者からの採用が進めやすいです。

最後に一言。特定技能1号は、制度の入口さえ正しく押さえれば、人手不足に悩む現場の大きな力になります。まずは自社の分野が対象か、2号への道があるかを公式情報で確認するところから始めてください。書類で迷ったら、取次資格を持つ専門家に早めに相談を。

この記事について質問できますAIが記事をもとに答えます
こんにちは。この記事について、下の候補から選ぶか、自由に質問できます。

田中 誠一

行政書士(外国人在留資格申請専門) ・ 入管申請取次資格保有・申請実務経験10年以上
在留資格申請実務歴10年以上

行政書士として外国人の在留資格申請を専門に扱い、実際の申請実務や入管窓口での一次情報をもとに、読者が自分で手続きを進められるよう具体的かつ正確な情報を届けることを心がけています。

メルマガ登録

田中 誠一
田中 誠一
行政書士として外国人の在留資格申請を専門に扱い、実際の申請実務や入管窓口での一次情報をもとに、読者が自分で手続きを進められるよう具体的かつ正確な情報を届けることを心がけています。

記事には書ききれない現場のリアルや最新の動きを、わたしから直接メルマガでお届けします。よかったら登録してください。

登録は無料・いつでも解除できます。