在留資格とは?種類一覧・申請手続き・ビザとの違いを徹底解説

在留資格は全部で29種類。就労できるもの、できないもの、身分に基づくものに分かれます。ここを取り違えると、不法就労や申請の不許可につながります。
この記事では、行政書士として10年以上入管申請を扱ってきた私が、種類の見分け方から申請手続き・費用・更新・特定技能の最新動向、そして不許可になりやすい落とし穴まで、現場目線でまとめます。
在留資格とは?ビザとの違いをわかりやすく解説

まずは言葉の整理から。ここを曖昧にしたまま手続きを始める方が本当に多いので、最初にはっきりさせておきます。
在留資格の意味と役割
在留資格とは、外国人が日本でどんな活動をして滞在できるかを定めた法律上の資格です。出入国在留管理庁の資料では、外国人は原則としていずれか一つの在留資格をもって在留し、その範囲内でのみ活動できるとされています。
つまり「技術・人文知識・国際業務」で在留している人が、許可なくレストランの皿洗いだけをするのはNG。資格の“枠”からはみ出すと違反になります。
ビザ(査証)と在留資格は別物
ビザは在外の日本大使館・領事館が発行する“入国のための推薦状”のようなもの。入国時に使い終わります。一方、在留資格は入国後に日本で滞在し続けるための資格です。
日常会話では「就労ビザ」とまとめて呼びますが、正式には「就労できる在留資格」です。私も窓口で説明するとき、この区別を最初に伝えます。
在留資格の確認方法(在留カードの見方)
今どの在留資格を持っているかは、在留カードで確認します。表面の「在留資格」「在留期間(満了日)」「就労制限の有無」の3点を見れば、就労の可否と期限が分かります。
在留カードは、原則として3か月を超えて滞在する中長期在留者に交付されます。短期滞在や在留期間が3か月以下の人には交付されません。
採用面接で在留カードを見せてもらうとき、私は必ず裏面の「資格外活動許可」欄もチェックします。アルバイト可否はここで決まるからです。
在留資格の種類一覧と分類のしくみ
29種類と聞くと身構えますが、分類の軸はシンプルです。「就労できるか」「身分に基づくか」で大きく整理できます。厚生労働省の資料でも、在留資格は身分・地位に基づくものと活動に基づくものに大別されています。

| 分類 | 代表的な在留資格 | 就労の可否 |
|---|---|---|
| 身分・地位に基づく(居住資格) | 永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者 | 制限なし |
| 活動に基づく(就労可) | 技術・人文知識・国際業務、経営・管理、技能、特定技能、高度専門職 ほか | 定められた範囲で就労可 |
| 活動に基づく(原則就労不可) | 留学、家族滞在、短期滞在 ほか | 原則就労不可(資格外活動許可で一部可) |
就労できる在留資格(活動資格・就労ビザ)
いわゆる就労ビザは、職種に応じた専門性が求められます。代表格が「技術・人文知識・国際業務」。エンジニア、通訳、海外取引業務などが典型です。
在留期間は5年・3年・1年・6か月・3か月などが定められ、法務大臣が5年を超えない範囲で個別に指定する場合もあります。
就労に制限のない在留資格(身分・地位に基づく居住資格)
永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者。この4つは就労制限がありません。日本人と同じように、どんな仕事にも就けます。
採用側からすると、この区分の人は職種を選ばず雇えるので扱いがラク。正直、求人で「身分系在留資格歓迎」と書く会社が多いのも納得です。
原則として就労できない在留資格
留学、家族滞在、短期滞在など。これらは本来の活動(勉強・家族との生活など)が目的で、就労は原則不可です。
ただし、後述の資格外活動許可を取れば、一定時間までアルバイトができます。
資格外活動許可と週28時間ルール
留学生をアルバイトで雇うとき、必ず確認するのが資格外活動許可です。許可があれば原則として週28時間以内まで就労できます。長期休暇中は1日8時間以内まで緩和されます。
ここで一つ現場の注意点を。週28時間は「どの曜日から数えても」超えてはいけません。複数バイトを掛け持ちすると合算で超えやすい。シフト管理を甘く見ると、本人も雇用主も処分対象になります。
在留資格の申請手続きと必要書類・費用・期間の目安
「何から始めれば?」という方へ。申請は、まず自分のケースがどの手続きに当たるかを見極めるところから始まります。新規取得・変更・更新で書類も流れも変わります。

申請の基本的な流れ
海外から呼ぶ場合は、まず日本側で「在留資格認定証明書」を取得し、それを使って現地でビザを取り、入国します。すでに日本にいる人が職種を変えるなら「在留資格変更許可申請」、期限を延ばすなら「在留期間更新許可申請」です。
申請先は住所地を管轄する地方出入国在留管理局。在留資格は活動内容(就労・留学・家族滞在など)に応じて分類されており、入管庁の「在留資格から探す」ページで自分の区分を確認できます。
在留資格別の必要書類チェックリスト
書類は在留資格ごとに違いますが、就労系で共通して必要になるものを整理します。実務でよく不足するのが、職務内容と学歴・職歴の関連を示す資料です。
| 書類 | 目的 |
|---|---|
| 申請書・写真 | 本人特定 |
| 雇用契約書または労働条件通知書 | 職務内容・待遇の確認 |
| 卒業証明書・成績証明書 | 専門性と業務の関連の証明 |
| 会社の登記事項証明書・決算書類 | 受入れ企業の実体・安定性の確認 |
| 事業内容・雇用理由書 | なぜこの人材が必要かの説明 |
手数料の具体額は、改定があるため出入国在留管理庁の公式サイトで最新額を確認してください。本記事の材料には公式の手数料表がないため、ここで金額は断定しません。
オンライン申請システムの使い方
在留申請オンラインシステムを使えば、入管に出向かず申請できます。企業の人事担当者や届出済みの行政書士が利用者登録をして使うのが一般的です。
正直、初回登録の手間はありますが、窓口の長い待ち時間を考えると、継続して外国人を雇う会社には導入をすすめます。
行政書士に依頼するメリットと費用相場
自分で申請できないわけではありません。ただ、不許可になると再申請で数か月のロスが出ます。書類の論理構成で結果が変わる案件は、専門家に任せたほうが結果的に早い。
費用相場は事務所や案件の難易度で幅があるため、ここで一律の金額は示しません。複数の事務所で見積もりを取り、業務範囲(書類作成のみか、取次まで含むか)を比べてください。
在留資格の変更・更新・取消し・永住権の手続き

取ったら終わりではありません。期限管理と変更手続きを怠ると、せっかくの在留資格を失います。ここは見落としが多いので厚めに書きます。
在留期間の更新と在留資格の変更
更新は在留期間の満了前に行います。私は依頼者に「満了の3か月前から動きましょう」と伝えています。転職して職種が大きく変わった場合は、更新ではなく変更が必要になることもある。
永住権の取得要件と帰化との違い
永住者になると就労制限がなくなり、在留期間の更新も不要になります。ただし審査は厳しく、継続的な在留・安定した収入・納税や年金の履行などが見られます。
よく混同されますが、永住は「外国籍のまま日本に永住する」もので、帰化は「日本国籍を取得する」もの。帰化は法務局が窓口で、永住とは別の制度です。私は『国籍を変えたいなら帰化、日本人になる必要はないが制限なく暮らしたいなら永住』と説明しています。
家族滞在による家族帯同の可否と条件
就労系の在留資格を持つ人は、配偶者や子を「家族滞在」で呼べる場合があります。一方、特定技能1号は原則として家族帯同が認められません。ここは採用前に必ず確認しておきたいポイントです。
在留資格の取消し・失効に注意
在留資格は取り消されることがあります。たとえば、許可された活動を行わずに一定期間が過ぎたケースなど。退職後に転職せず長く活動実体がないと、リスクが高まります。転職時の届出を忘れない、これが一番の自衛策です。
急増中の特定技能と技能実習・育成就労の最新動向
ここ数年、私への相談で最も増えたのが特定技能です。人手不足の分野で、即戦力を受け入れられる制度として一気に広がりました。

特定技能は単純労働も可能
特定技能は、国内人材の確保が難しい産業分野で、一定の専門性・技能を持つ外国人を受け入れる在留資格です。従来の就労ビザでは難しかった現場作業も対象になり得る点が大きな特徴です。
特定技能1号は受入れ機関または登録支援機関による支援が義務で、技能と日本語能力を試験等で確認します。在留期間は通算上限5年。熟練技能を要する業務向けの特定技能2号は、在留期間更新に上限がありません。
技能実習から特定技能への移行ルート
技能実習を良好に修了した人は、試験の一部免除などで特定技能へ移行できる場合があります。実習で身につけた技能をそのまま活かせるルートです。
高度専門職(ポイント制)の優遇措置
学歴・職歴・年収などをポイント化し、基準を満たすと優遇を受けられるのが高度専門職です。在留期間や永住申請などで有利になります。高収入のエンジニアや研究者からの相談で出てくる区分です。
2024年制度改正・育成就労制度の動き
技能実習に代わる「育成就労制度」の創設が進んでいます。人材育成と確保を目的に、特定技能への移行を見据えた仕組みです。制度の詳細は施行に向けて整備中のため、運用が固まり次第アップデートします。
なお、特定技能制度自体は2018年成立の改正入管法で創設され、2019年4月から受入れが始まりました。
【失敗から学ぶ】在留資格申請の不許可事例と対処法
ここが本記事で一番伝えたい部分です。不許可の多くは、書類不備ではなく「職務内容と在留資格のミスマッチ」で起きます。私が見てきた典型を共有します。

技術・人文知識・国際業務でつまずく単純労働の壁
この在留資格は専門的・技術的な業務が前提です。実態が単純作業中心だと、いくら肩書を整えても通りません。『大卒の外国人を採用したのに、配属先は工場のライン作業だけ』——これが不許可の王道パターンです。
不許可となった事例と許可された事例
許可と不許可を分けるのは、職務内容の専門性と学歴・職歴との結びつきです。同じ職種でも、説明の仕方で結果が変わります。
| ケース | 内容 | 結果 |
|---|---|---|
| 許可 | 情報系卒の人材をシステム開発・保守に従事させ、職務と専攻の関連を明示 | 許可 |
| 不許可 | 事務職採用だが実態は接客・レジ・品出し中心で専門性が乏しい | 不許可 |
| 許可 | 母国語を活かした海外取引・通訳翻訳業務を具体的に記載 | 許可 |
この表は制度上の確定基準ではなく、私の申請実務で見えた傾向です。個別案件は必ず最新の入管運用を確認してください。
不許可になったときの再申請・審査請求
不許可でも終わりではありません。まず入管で不許可理由を確認し、足りなかった点を補強して再申請するのが現実的な対処です。理由を聞かずに同じ書類で出し直しても、結果は変わりません。
私の経験では、不許可理由のヒアリングをきちんと行い、職務内容の説明を作り直した再申請の通過率は体感でかなり高い。落ち込む前に、理由の確認から始めてください。
外国人雇用で会社が押さえる届出義務と社会保険・税金

採用して終わりではありません。雇用主には届出義務があり、これを怠ると会社側が罰則を受けます。ここを軽視する会社が、後で痛い目に遭います。
ハローワーク・入管への届出義務
外国人を雇い入れたとき・離職したときは、ハローワークへの外国人雇用状況の届出が必要です。中長期在留者を雇用する受入れ機関には、入管への届出が求められる場面もあります。
社会保険・年金・税金など付随手続き
在留資格があっても、社会保険・厚生年金・所得税の扱いは日本人と基本的に同じです。要件を満たせば加入義務がある。『外国人だから入れなくていい』は誤りです。
永住申請では納税や年金の履行状況も見られます。日々の手続きの積み重ねが、将来の在留にも効いてきます。
オーバーステイ・不法就労のリスクと雇用主の責任
在留期限を過ぎて滞在するオーバーステイ、資格の範囲外で働く不法就労。これらは本人だけでなく、雇った会社も不法就労助長として責任を問われます。
「知らなかった」は通りにくい。採用時に在留カードで在留資格・期限・就労制限・資格外活動許可を確認する。この一手間で大半のリスクは防げます。
在留資格に関するよくある質問(FAQ)
最後に、相談現場で特に多い3つの質問に短く答えます。

よくある質問
在留資格は、最初の見極めで結果の8割が決まる、というのが私の実感です。迷ったら自己流で出す前に、在留カードと職務内容を手元に、専門家か入管に一度確認してください。それが遠回りに見えて一番の近道です。
